小児鼠径(そけい)ヘルニアという言葉はあまり馴染みがないかもしれないですね。難しい名前で危険な病気なのではないかと心配になりますよね。
今回は、小児鼠径ヘルニアとはどういう病気なのか、原因や症状について紹介したいと思います。
小児鼠径ヘルニアとは
体内の臓器が本来あるべき場所から飛び出している状態を「ヘルニア」といい、「小児鼠径ヘルニア」とはヘルニアが足の付け根(鼠径部)で起こったものをいいます。
股の付け根の少し上あたり(鼠径部)から陰部にかけて膨隆する疾患です。鼠径ヘルニアには内鼠径(ないそけい)ヘルニアと外鼠径(がいそけい)ヘルニアがあります。小児の場合は生まれつきの原因で発症するため、ほとんどが外鼠径ヘルニアです。女児に比べて男児に多いとされます。
臓器が飛び出しているというと大きな病気に思うかもしれませんが、自然に治ることもあります。しかし、6ヶ月経っても戻りにくい場合は手術を選択することもあります。
小児鼠経ヘルニアが起こる原因は?
男の子の精巣(睾丸)は、胎児のときは赤ちゃん自身のお腹の中に作られます。ママの体から生まれる頃になると、鼠径部にぶら下がっている「腹膜鞘状突起」という袋状の通り道を通って、精巣がだんだんと下に降りていき、やがて陰嚢(精巣を包む袋)の中に入ります。
通常、精巣がお腹から陰嚢の中に降りたあと、腹膜鞘状突起は腹膜から離れ、袋の根元が自然に閉じます。しかし、これが何らかの原因で閉じないとき、その袋状のすき間に腸などの臓器が飛び出してしまいます。これが鼠径ヘルニアです。
一方、女の子の場合も、生まれるまでに閉じるべき通路が「円靭帯(えんじんたい)」という子宮を支える筋に沿って開いたまま残ってしまうことで、鼠径ヘルニアが起こりえます。すき間に腸だけでなく卵巣まで一緒に飛び出してくることもあります。
小児鼠経ヘルニアの症状は?
初期段階では痛みなどは特になく、柔らかい状態なので指で軽く押さえると元に戻ります。しかし、飛び出している臓器が締め付けられると、「ヘルニア嵌屯(かんとん)」という状態になり、赤く変色して硬くなってお腹の中に戻りにくくなります。
ヘルニア嵌屯が起こると痛みが現れるので、子供の場合、嘔吐をしたり、不機嫌になったり、激しく泣いたりします。最悪の場合は、飛び出した臓器が袋の根元で締めつけられてしまい、腸閉塞を起こす危険性もあります。
小児鼠経ヘルニアの治療法は?
生後3ヶ月くらいまでに発症・発見された小児鼠径ヘルニアは、1歳頃までに自然に治る可能性があると言われていますが、それ以降は自然に治る可能性は少なく、治すには手術が必要です。
入院に必要な日数は子供の体の状態によっても異なりますが、早ければ日帰りもできますし、入院する場合でも1泊2日か2泊3日程度で済みます。
まとめ
小児鼠経ヘルニアの場合、足の付け根や、男の子の場合は陰嚢に膨らみが見られるのが特徴です。
ヘルニア嵌頓を起こしてしまうと手術が必要になるため、子供の体で違和感が少しでもあるようでしたら、早めに病院を受診しましょう。
おむつ替えやお風呂に入れる際に定期的に膨らみやしこりがないか確認しておきましょう。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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