「シュタイナー教育」って言葉を聞いたことはありますか?最近聞くこともありますが、具体的にどんな教育法なのか分からない方も多いのではないでしょうか。
今回は、シュタイナー教育について解説したいと思いますが、実はこの教育法、単なる知識の詰め込みではなく、子どもの「生きる力」と「創造性」を徹底的に育む、世界中で注目されているユニークな教育システムとなってます。
メリット、デメリットなども踏まえて解説したいと思います。
そもそもシュタイナー教育とは?
シュタイナー教育は、オーストリアの哲学者ルドルフ・シュタイナー(1861~1925年)が提唱した教育思想・教育実践です。
彼は、単に知性だけを伸ばすのではなく、「人間として全人的な成長」を促すことを目指し、1919年にドイツで初の学校「自由ヴァルドルフ学校」を設立しました。
シュタイナー教育の「ユニークな」5つの特徴
シュタイナー教育が他の教育と一線を画す点は、その実践方法にあります。ここでは、特に特徴的な5つのポイントを解説します。
特徴 | 内容 | 教育の狙い |
12年間の一貫教育 | 小・中・高といった区切りがなく、1年生から12年生までを同じ校舎で学ぶ。 | 途切れることなく、子どもの発達段階に応じた連続的な成長を促す。 |
「エポック」学習 | 国語・算数などの主要教科を1つに絞り、数週間集中して深く学ぶ。 | 興味が最も高まった状態で知識を深め、学習内容を「体験」として定着させる。 |
教科書を使わない | 教科書の代わりに「エポックノート」に自ら書き込み、自分だけの教科書を作る。 | 受け身ではなく、能動的に学びを記録し、創造力を育む。 |
芸術的な手法 | 低学年では、歌・木の実・手仕事など、芸術や具体的なイメージを伴って学ぶ。 | 感情や感覚といった「こころ」の成長を重視し、論理的思考力とバランスをとる。 |
テスト・点数評価なし | 成績で競わず、先生からの**「人物描写」**が通信簿となる。 | 学習の動機を「興味・関心」とし、競争ではなく、個人の成長に目を向ける。 |
シュタイナー教育が重視する「7年ごとの成長過程」
シュタイナー教育の核となる考え方が、「人間は7年ごとに成長の節目を迎える」というものです。子どもの発達段階に合わせて、教育アプローチを変えることを大切にしています。
時期 | 成長のテーマ | 教育の重視点 |
第1七年期(0~7歳) | 「からだ」を作る時期 | 模倣を通した生活習慣、自由な遊び、手仕事など、「意志」の力を育む。 |
第2七年期(7~14歳) | 「こころ」を育てる時期 | 芸術的・感情的な教育、イメージ豊かなお話や詩、「感情」の力を育む。 |
第3七年期(14~21歳) | 「思考」を育てる時期 | 抽象的な思考、ディベート、社会への関心など、「思考」の力を育む。 |
特に重要なのは、0〜7歳の時期は知識の詰め込みよりも、健康な身体と豊かな想像力を育む「遊び」や「生活体験」が重視される点です。
シュタイナー教育を受けた子は「どんな子」に育つ?
シュタイナー教育では、「正解のない問題」に自ら取り組み、「問題意識を持つこと」を大切にしています。
継続してこの教育を受けた子どもたちは、以下のような特性を持つ傾向があります。
- 自分で考え、行動できる力:テストや点数に頼らず、常に「なぜ?」を問うことで、自律的な思考力が身につきます。
- 起業家精神・創造性の豊かさ:枠にとらわれない独自の学び方から、起業家やアーティストとして活躍する人が多いと言われています。
- 芸術的な感性:低学年から芸術的な手法で学ぶため、豊かな感受性や創造力が養われます。
- 他者への深い理解:点数ではなく人物描写で評価される経験を通し、他者の個性を尊重する心が育まれます。
シュタイナー教育のメリット・デメリットと学校の選び方
家庭で取り入れるか、学校に通わせるかを選ぶ上で、知っておくべき現実的な情報もチェックしておきましょう。
メリット
- 生きる力が育つ: 知識偏重にならず、感情や意志といった「全人教育」が実践できる。
- 創造性が高まる: 芸術的な学びや手仕事が豊富で、感性豊かな子に育ちやすい。
- 個性を尊重: 競争ではなく、子どもの内面的な成長を評価する。
デメリット
- 公教育との違い: 一般的な学校に比べ、学習の進度が遅れると感じる親もいる。
- 学校の選択肢が少ない: 日本のシュタイナー学校はNPO法人運営のフリースクールが多く、数も限られている。
- 高校卒業資格: 多くの学校で高卒資格を得るために、別途認定試験(高認)対策が必要になる場合がある。
学校の選び方
日本には「シュタイナー学校」「ヴァルドルフ学園」などがありますが、ほとんどが文部科学省の認可を受けていない私立やフリースクールです。
学校の理念に対するご両親の深い理解と共感が求められます。まずは、シュタイナー教育を取り入れている「幼稚園・保育園」から体験してみるのも一つの方法です。
まとめ
シュタイナー教育は、子供の成長をじっくりと見つめ、「この子らしく」生きる力を育む素晴らしい教育法です。
ただし、日本の公教育とは大きく異なるため、「完璧に全てを取り入れる」必要はありません。
大切なのは、「わが子の教育に何を重視するか」です。
- 7歳までは自由な遊びと生活体験を重視する
- テレビやゲームよりも手仕事や芸術的な遊びを取り入れる
といったように、家庭の教育方針に合わせて「いいとこ取り」をするだけでも、お子さんの伸びやかな成長につながるでしょう。
あなたとご家族にとって最適な教育の形を見つけてください。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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