2025年施行の育児介護休業法について解説
2025年に制度が変わるって聞いたけど何が変わるの?
制度改善によって受けるメリット、デメリットってある?
このように疑問を感じている方にぜひ読んでもらいたい記事です。最後まで読んでいただけると嬉しいです。
記事のまとめ
2025年4月1日と2025年10月1日に施行が予定されています(一部を除く)。
改正法による変更点は、大きく分けると以下の3点です。
1.子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するたの措置の拡充
2.育児休業の取得状況の公表義務の拡大や次世代育成支援対策の推進・強化
3.介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化等
育児介護休暇に関する対象範囲が拡大され、取得できる方が増える可能性が高くなり、より働きやすくなることが期待されます。
育児介護休業法とは
改正の目的
男女ともに仕事と育児・介護を両立できるようにするため、労働者を支援するための措置を講じることです。
育児介護休業法改正の概要
育児介護休業法改正の概要については、以下3点が大きな変更ポイントです。
①子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するたの措置の拡充
②育児休業の取得状況の公表義務の拡大や次世代育成支援対策の推進・強化
③介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化等
1つずつ見ていきたいと思います。
1.子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充
改正法による変更ポイント1つ目は、子供の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充です。
① 柔軟な働き方を実現するための措置を講じ、個別周知・意向確認の義務付け。
② 残業免除の対象となる労働者の範囲を、小学校就学前の子を養育する労働者に拡大。
③ 看護休暇を子供の行事参加等の場合も取得可能とし、対象となる子の範囲を小学校3年生まで拡大。
④ 3歳になるまでの子を養育する労働者に関して、努力義務の対象にテレワークを追加。
⑤ 労働者の仕事と育児の両立に関する個別の意向の聴取・配慮を義務化。
■柔軟な働き方を実現するための措置を講じ、個別周知・意向確認の義務付け。
3歳以上の小学校就学前の子を養育する労働者に関し、柔軟な働き方を実現するための措置を講じ(※)、労働者が選択して利用できるようにすることを義務付ける必要があります。また、当該措置の個別の周知・意向確認を義務付ける必要があります。
※ 始業時刻等の変更、テレワーク、短時間勤務、新たな休暇の付与、その他働きながら子を養育しやすくするための措置のうち事業主が2つを選択する。
■残業免除の対象となる労働者の範囲拡大。
所定外労働の制限=残業免除の対象となる労働者の範囲を、3歳になるまでの子から小学校就学前の子を養育する労働者に拡大となり、仕事と家庭の両立がしやすくなります。
■看護休暇の対象範囲が拡大
看護休暇とは、負傷しまたは疾病にかかった子の世話などを行うための休暇です。
感染症に伴う学級閉鎖や子供の行事参加等の場合も看護休暇を取得できるようになります。対象となる子の範囲を小学校3年生まで拡大されます。
■3歳未満の子を養育する労働者に関して、努力義務の対象にテレワークを追加
3歳未満の子を養育する労働者が育児休業をしていない場合に、在宅勤務等(テレワーク)の措置を講ずることが新たに努力義務として課されることになります。
在宅勤務等の措置を講じなくても罰則等はありませんが、事業主においては積極的に当該措置を講じ、労働者の仕事と育児の両立を助けることが必要となります。
■仕事と育児の両立に関する個別の意向の聴取・配慮を義務化
労働者が事業主に対して妊娠・出産などを申し出た場合には、事業主は労働者に対して、仕事と育児の両立に関する個別の意向を聴取し、その意向に配慮することが義務付けられます。
2.育児休業の取得状況の公表義務の拡大や次世代育成支援対策の推進・強化
改正法による変更ポイントの2つ目は、育児休業の取得状況の公表義務の拡大や次世代育成支援対策の推進・強化です。
① 育児休業の取得状況の公表義務の対象を拡大
② 育児休業の取得状況等に係る状況把握・数値目標の設定を事業主に義務付け
③ 次世代育成支援対策推進法の有効期限を10年間延長
■育児休業取得状況の公表を1000人超から300人超に変更
育児休業取得状況の公表について、常時雇用する労働者数が1,000人超から300人超の事業主に変更となります。
より、ベンチャー企業や従業員数が少ない企業でも育児休業の促進が期待されます。
■育児休業の取得状況等に係る状況把握・数値目標の設定を事業主に義務付け
今回の法改正により、従業員数100人超の事業主に対して、行動計画策定時に育児休業の取得状況等に係る状況把握および数値目標の設定が新たに義務付けられます。
定量的な把握を義務付けることにより、育児休業取得のさらなる促進が期待されます。
■次世代育成支援対策推進法の有効期限を10年間延長
次世代育成支援対策推進法は、今回の法改正以前においては2025年3月31日限りで失効するものと定められていました。
今回の法改正により、次世代育成支援対策推進法の有効期限が2035年3月31日まで10年間延長されました。
3.介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化等
改正法による変更ポイントの3つ目は、介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化等です。
① 両立支援制度等について早期の情報提供、雇用環境の整備、個別の周知・意向確認を行うことを事業主に義務付け
② 介護休暇の対象範囲拡大
③ 家族を介護する労働者に関して、努力義務の対象にテレワークを追加
■早期の情報提供、雇用環境の整備、個別の周知・意向確認を行うことを義務付け
・介護に直面した労働者が申出をした場合に、両立支援制度等に関する情報の個別周知・意向確認をする必要があります。
・40歳に達する労働者に対して、両立支援制度等に関する早期の情報提供をすることを義務付けられます。
■介護休暇の対象範囲拡大
「介護休暇」とは、要介護状態にある家族の世話を行うための休暇です。
介護休暇は、勤続6ヶ月未満の労働者を、労使協定に基づいて取得対象外とすることができなくなります。6ヶ月未満の労働者であっても介護休暇を取得できるようになります。
■家族を介護する労働者に関して、努力義務の対象にテレワークを追加
事業主には、要介護状態にある対象家族を介護する労働者が介護休業をしていない場合に、在宅勤務等(テレワーク)の措置を講ずることが新たに努力義務として課されます。
在宅勤務等の措置を講じなくても罰則等はありませんが、事業主においては積極的に当該措置を講じ、労働者の仕事と介護の両立を助けることが求められます。
メリット
今回の記事の内容から、労働者へのメリットとしては以下2点です。
1.残業免除対象が小学校入学前の子を育てる労働者まで拡大されること。
2.子どもが3歳から小学校入学前までの間、従業員がテレワークや時差出勤など複数の選択肢から選べる制度の義務化がされ、働きやすくなることが期待されること。
まとめ
改正法のポイントは以下3点です。
1.子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するたの措置の拡充
2.育児休業の取得状況の公表義務の拡大や次世代育成支援対策の推進・強化
3.介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化等
法改正に伴い、子供がいるパパ、ママにとって働きやすい職場が増えることを期待したいですね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html